ろうものが何《な》ぜ邪魔《じゃま》をするのだと怒《おこ》りながらリカ子《こ》の部屋《へや》へ這入《はい》っていくと、あなただからこそいつでも何《な》んでも頼《たの》めるのだ、デアテルミイのように直接《ちょくせつ》自分《じぶん》の皮膚《ひふ》へあてがう機械《きかい》の狂《くる》ったのを直《なお》して貰《もら》うのもあなただからこそではないかという。しかし、私《わたし》は私《わたし》で自分《じぶん》の頭《あたま》がだんだん悪《わる》くなるのも君《きみ》が私《わたし》の頭《あたま》を使《つか》うからだ。同《おな》じ使《つか》うなら私《わたし》の頭《あたま》を引《ひ》き摺《ず》り上《あ》げるように使《つか》ってくれ、そうでなくとも私《わたし》の頭《あたま》は君《きみ》の方《ほう》へ向《む》き過《す》ぎて困《こま》るのだというと、リカ子《こ》は急《きゅう》に黙《だま》ってしまって私《わたし》の膝《ひざ》へ頭《あたま》をつけたまま動《うご》かない。私《わたし》は動《うご》かないリカ子《こ》を上《うえ》から見《み》ていると、私《わたし》がリカ子《こ》にそういうことをいう資格《しかく》もないにも拘《か
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