んしゆしゆう》となる 刀下|冤《えん》を呑んで空しく死を待つ 獄中の計|愁《うれい》を消すべき無し 法場|若《も》し諸人の救ひを欠かば 争《いか》でか威名八州を振ふを得ん
     沼藺《ぬい》
残燈影裡刀光閃めく 修羅闘一場を現出す 死後の座は金※[#「くさかんむり/函」、第3水準1−91−2]※[#「くさかんむり/啗のつくり」、第4水準2−86−33]《きんかんたん》を分ち 生前の手は紫鴛鴦《しえんおう》を繍《ぬ》ふ月※[#「さんずい+冗」、第4水準2−78−26]《げつちん》秋水珠を留める涙 花は落ちて春山土|亦《また》香ばし 非命|須《すべか》らく薄命に非ざるを知るべし 夜台長く有情郎に伴ふ
     犬山道節《いぬやまどうせつ》
火遁の術は奇にして蹤《あと》尋ね※[#「匚<口」、第4水準2−3−67]《かた》し 荒芽山畔|日《ひ》将《まさ》に※[#「さんずい+冗」、第4水準2−78−26]《しず》まんとす 寒光地に迸《ほとばし》つて刀花乱る 殺気人を吹いて血雨|淋《りん》たり 予譲《よじよう》衣を撃つ本意に非ず 伍員《ごいん》墓を発《あば》く豈《あに》初心ならん 品川に梟示《
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