ごうふう》過ぐる処《ところ》花空しく落ち 迷霧開く時銃忽ち鳴る 狗子《くし》何ぞ曾《かつ》て仏性無からん 看経《かんきん》声裡|三生《さんせい》を証す
犬塚信乃《いぬつかしの》
芳流傑閣勢ひ天に連なる 奇禍危きに臨んで淵を測らず ※[#「足へん+圭」、第4水準2−89−29]歩《きほ》敢て忘れん慈父の訓 飄零《ひようれい》枉《ま》げて受く美人の憐み 宝刀|一口《ひとふり》良価を求む 貞石三生宿縁を証す 未だ必ずしも世間偉士無からざるも 君が忠孝の双全を得るに輸《つく》す
浜路《はまじ》
一陣の※[#「堽のつくり」、第4水準2−84−76]風《こうふう》送春を断す 名花空しく路傍の塵に委す 雲鬟《うんかん》影を吹いて緑地に粘《でん》す 血雨声無く紅巾に沁《し》む 命薄く刀下の鬼となるを甘んずるも 情は深くして豈《あに》意中の人を忘れん 玉蕭《ぎよくしよう》幸ひに同名字あつて 当年未了の因を補ひ得たり
犬川荘助《いぬかわそうすけ》
忠胆義肝|匹儔《ひつちゆう》稀なり 誰か知らん奴隷それ名流なるを 蕩郎《とうろう》枉げて贈る同心の結《むすび》 嬌客俄に怨首讎《え
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