驍アとは決して相成らぬ。時間は最も長いときで十時間半、最も短かいときで八時間半であったかと記憶する。そして各囚人にはそれぞれ定まった課程があって、それだけの仕事は是非させられることになっている。就役中は話もできず、休むこともできず、便所に行きたい時には手を挙げて許可を請うのだそうな、それから役には工賃が定まっていて、その十分の二三ぐらいは本人の所得となる。それで長期の囚人は百円も二百円も持って出るのがあるとのこと。
一三 賞罰
囚人が反則をすればすぐに懲罰に附される。懲罰の第一は減食である。減食といえば食物の量を三分の一ぐらいに減じられて、数日の間、チャント正坐させられる。それがつらさに首を縊る者が折々ある。平気な奴でも体重の一貫目くらい忽ち減る。
それから減食でもこたえぬ奴は暗室に入れる。重罪囚で手に合わぬ奴には※[#「金+大」、第3水準1−93−3、57下−16]《だい》というものを施す。※[#「金+大」、第3水準1−93−3、57下−16]とはすなわち足枷である。それでもまだこたえぬ奴には、一二貫目もある鉄丸を背負わせるとのこと。
賞としては一週間に一度か二度か食
前へ
次へ
全33ページ中24ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
堺 利彦 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング