ンガニカの砂地と同じ温度を保《たも》たせた恒温室の中に二十四時間入れて置いたというわけである。
ガン、ガラガラッ。
ガラガラガラッ。パシーン。
博士はパイプを床《ゆか》にとり落した。それほど物凄い、ただならぬ音響がした。音の方角は、どうやら恒温室だった。
「さては恒温室が、熱のために爆発らしいぞ」
博士は驚いて戸口の方へ歩《ほ》を搬《はこ》んだ。扉に手をかけようとすると扉《ドア》の方でひとりでパッと開いた。――その向こうには、助手の理学士の土色《つちいろ》の顔があった。しかも白い実験衣の肩先がひどく破れて、真赤な血潮が見る見る大きく拡がっていった。
「ど、どうしたのだッ」
「せ、せんせい、あ、あれを御覧なさい」
ブルブルと顫《ふる》う助手の指先は、表通《おもてどおり》に面した窓を指した。
博士は身を翻して、窓際《まどぎわ》に駈けつけた。そして硝子《ガラス》を通して、往来を見た。
大勢の人がワイワイ云いながら、しきりに上の方を指している。どうやら、向い側のビルディングの上らしい。
とたんに飛行機が墜落するときのような物凄い音響がしたかと思うと、イキナリ目の前に、自動車の二
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