いた連中は、どどっと下りた。一同は、わっと喊声《かんせい》をあげて、古谷局長と貝谷の隠れているところへ、駈けこんできた。
「ありがとう、ありがとう」
「そんな挨拶はあとだ。さあ早くこの銃を持て。そしてもう一度船内へひっかえして、持てるだけ、銃だの弾丸《たま》だのを持て」
 一行は忽《たちま》ち武装してしまった上に、更に多数の銃や弾丸を手に入れた。
「さあ、いよいよ猛獣狩といくか」
「待て待て。皆がいくまでのこともなかろう。ここからこっち半分は猛獣狩にいくとして、あとの半分は船内捜索をやるから、俺についてこい」
 局長は貝谷を副長と決め、あと三人ばかりの船員を指名し、さっきに引続いて、船内を探すことになった。古谷局長の胸中には、前からたえず気になっていることがあったのである。それは、和島丸が航行中、受取ったあの怪しい無電のことである。
 この幽霊船が、果してあの無電をうったのであるか。また魚雷も、この幽霊船の仕業であるか。もしそうだとしたら、なぜ和島丸は撃沈されなければならなかったか。更に幽霊船との関係も明らかにされなければならなかった。それとともに、死んだものと思われる無電技士丸尾の先
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