去った。
それからのち、僅か二十分ぐらいの間のことだったが、貝谷は、二日三日もたったように思った。ところが、正味二十分たって、局長は息せききって、貝谷の待っているところへかえってきた。
「あっ、局長。どうでした」貝谷は、あいかわらず、猛獣への監視をおこたらず、その方へ顔をむけたままの姿勢でたずねた。
「うむ、あったぞ。このとおりだ」局長は、うれしそうに、貝谷の鼻のさきへ、三挺のピストルと二挺の銃とをさしだした。
「まだ銃はある。弾丸もうんとある。さあこれで、あの猛獣どもを追っ払うのだ」
局長は、さっきとは別人のように元気になっていた。
そこで局長と貝谷とは、一、二、三の号令とともに、積みあげたロップに銃をのせて、勢いよく撃ちだした。だだーん、どどーん。ものすごい銃声だ。そしてたいへんいい当りだ。そうでもあろう。相手は大勢、当らないのがおかしいくらいだ。
船内|捜査《そうさ》
こうして、四五頭のライオンと豹とが、またたく間に、斃《たお》されてしまった。残りの猛獣は、びっくりして、その場をにげだして、向うへいってしまった。それを見すまして、檣《マスト》のうえに避難して
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