り分ることなんだから。それよりも早速《さっそく》君に相談があるんだ。君は僕の希望をかなえてくれることを望む」
霊魂第十号ははじめから抱いていた用件を、いよいよ切り出した。
「話によっては、ぼくも君に協力してあげないこともないが、しかしとにかく、君の礼儀を失した図々《ずうずう》しいやり方には好意がもてないよ」
「うん。それは僕がわるかった。大いに謝る。そして後で、いくらでも君につぐないをする、許してくれたまえ」
第十号は、急に態度をかえて、隆夫の前に謝罪《しゃざい》した。
「……で、どんな相談なの」
「それは……」霊魂第十号は、彼らしくもなく口ごもった。
「いいにくいことなのかね」
「いや、どうしても、今、いってしまわねばならない。隆夫君、僕は君に、しばらく霊魂だけの生活を経験してもらいたいんだ。承知してくれるだろうね」
「なに、ぼくが霊魂だけの生活をするって、どんなことをするのかね」
「つまり、君は今、肉体と霊魂との両方を持っている。それでだ、僕の希望をききいれて、君の霊魂が、君の肉体から抜けだしてもらえばいいんだ。それも永い間のことではない。三カ月か四カ月、うんと永くてせいぜい半
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