の感度が一様《いちよう》にいってないので、困っていることもあるんだ」
電波は長波《ちょうは》、中波《ちゅうは》、短波《たんぱ》と、だんだん波長が短くなってきて、もっと短くなると超短波《ちょうたんぱ》となり、その下は極超短波《ごくちょうたんぱ》となる。そのへんになると赤外線《せきがいせん》の性質を帯《お》びて来る。一センチの何千万分の一となると、もう電波であるよりも赤外線だ。そうなると、装置はますますむずかしさを加える。
「なんか出て来たよ。しかしさわがないでくれたまえ」
隆夫が昂奮《こうふん》をおしつけかねて、奇妙な声を出す。
一同の顔が、さっと紅潮《こうちょう》して、隆夫の顔に集まる。
隆夫は手まねで三木に空中線の向きや距離をかえさせる。そしていそがしくスイッチを切ったり入れたりして、その目は計器の上を走りまわる。
「これらしい。これがそうだろう」
隆夫はひとりごとをいっている。
「ああッ、飛ぶ、飛ぶ、赤い火がとぶ……」
とつぜん、高い女の声。
名津子《なつこ》が口を聞いたのだ。彼女は目がさめたものと見え、むっくりと床から起上ろうとして、母親におさえられた。
「名津ちゃ
前へ
次へ
全96ページ中27ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング