の感度が一様《いちよう》にいってないので、困っていることもあるんだ」
 電波は長波《ちょうは》、中波《ちゅうは》、短波《たんぱ》と、だんだん波長が短くなってきて、もっと短くなると超短波《ちょうたんぱ》となり、その下は極超短波《ごくちょうたんぱ》となる。そのへんになると赤外線《せきがいせん》の性質を帯《お》びて来る。一センチの何千万分の一となると、もう電波であるよりも赤外線だ。そうなると、装置はますますむずかしさを加える。
「なんか出て来たよ。しかしさわがないでくれたまえ」
 隆夫が昂奮《こうふん》をおしつけかねて、奇妙な声を出す。
 一同の顔が、さっと紅潮《こうちょう》して、隆夫の顔に集まる。
 隆夫は手まねで三木に空中線の向きや距離をかえさせる。そしていそがしくスイッチを切ったり入れたりして、その目は計器の上を走りまわる。
「これらしい。これがそうだろう」
 隆夫はひとりごとをいっている。
「ああッ、飛ぶ、飛ぶ、赤い火がとぶ……」
 とつぜん、高い女の声。
 名津子《なつこ》が口を聞いたのだ。彼女は目がさめたものと見え、むっくりと床から起上ろうとして、母親におさえられた。
「名津ちゃ
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