けになっても小屋から出て来ないことがあった。また、「お母さん、今夜は重要なアマチュア通信がありますから、ぼくは小屋で寝ますよ」などと、手製の電話機でかけてくることもあった。
この小屋には、同じ組の二宮《にのみや》君と三木《みき》君が一番よく遊びに来た。この二人も、そうとうなアマチュアであった。
隆夫の方はほとんどこの小屋から出なかった。友だちのところを訪《おとず》れることも、まれであった。
そのような一畑少年が、この間から一生けんめいに組立を急いでいる器械があった。それは彼の考えで設計したセンチメートル電波の送受信装置であった。
この装置の特長は、雑音がほとんど完全にとれる結果、受信の明瞭度《めいりょうど》がひじょうに改善され、その結果感度が一千倍ないし三千倍良くなったように感ずるはずのものだった。
その外にも特長があったが、ここではいちいち述《の》べないことにする。
その受信機は組立てられると、小屋の中にある金網《かなあみ》で仕切った。奥の方に据《す》えられたあらい金網が、天井から床まで張りっぱなしになっているのだ。その横の方が、戸のようにあく、そこから中へはいれる。その
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