三人の男にさんざん世話をやかせ、漸《ようや》くわし[#「わし」に傍点]のあとから、クレーンの上まで担《かつ》ぎあげられた政は、モートルの横の、配電盤をひと目見ると、恐《おそ》ろしそうに、そう云った。
「そうか。確《たしか》に、それと間違《まちが》いが無けりゃ、降りることにしよう」
わし[#「わし」に傍点]達は、また困難な鉄梯子《タラップ》を、永い時間かかって、一段一段と、下りて行った。
下まで降りきらない裡《うち》から、残っていた連中は、クレーンの上のスウィッチが開いていたか、どうかについて、尋《たず》ねるのであった。
「政に見て貰《もら》ったがな」わし[#「わし」に傍点]は一同の顔を、ずッと見廻《みまわ》した。
「クレーンのスウィッチも開いていたよ」
「それじゃ、いよいよあのクレーンは……」そこまで云った職工の一人は、自ら恐《おそ》ろしくなって、言葉を切ってしまった。
「……電気の力で動いたのでは無い、ということになる」とわし[#「わし」に傍点]は、代りに、云った。
「誰が、動かしたんだッ」
「上って、四方《しほう》に気をつけて見たが、隠れてる人間も居なかった。なァ、源太《げ
前へ
次へ
全40ページ中24ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング