んだ。クレーンはモートルでしか動けないんだ。このスウィッチが開いていて動く筈はない。開いているようでも何処か、電気が通うようになってるんじゃないか。よく中を開けて調べて見ろ」
カチャカチャと音をさせて、スウィッチの硝子蓋を開いてみたが、それは普通のスウィッチが、明らかに開かれた状態になっていて、外にインチキな接続は発見せられなかった。
「たしかに、このスウィッチは開いています」政は泣き声で云った。
「よし、では念のために、クレーンの上へ昇ってみよう」わし[#「わし」に傍点]は云った。
「なに、クレーンへ昇る――」
一同は、互《たがい》に顔を見合わせて、恐怖の色を濃《こ》くした。
「政、昇れ!」
「いやァ、救《たす》けて下さい」政は、ポロポロ泪《なみだ》を出して、喚《わめ》くのであった。
「じゃ、わし[#「わし」に傍点]が先登《せんとう》に昇るから、直ぐうしろから、ついて来い。いいかッ」
わし[#「わし」に傍点]はそういうなり、壁際へ進んで、クレーンに攀《よ》じ昇《のぼ》る冷い鉄梯子《タラップ》へ、手をかけた。
5
「矢張り、クレーンのスウィッチも、開いています」
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