い眼を閉じた。
「キ、キ、キ、キ、キィーッ」
もう堪《たま》りかねたものか、一行のうちから、サッと、懐中電灯の光芒《こうぼう》が、射るように、高い天井を照した。
「がーッ、がーッ……」
一同は、その怪音のする方を、等《ひと》しく見上げた。
「呀《あ》ッ!」
「ク、クレーンが……」
懐中電灯の薄ら明りに、はじめて照し出された怪物は何であったろうか。それはあの巨大な鉄骨で組立てられたクレーンが、物凄《ものすさま》じい響きをあげて、呀ッという間に、全速力で一同の頭上を通り過ぎたのであった。
「ひえーッ」
というなり、彼等は、折角《せっかく》手にした懐中電灯も其場《そのば》に抛《ほう》り出して、云いあわせたように、ペタペタと、地上に尻餅をついてしまった。
「電灯を、点けろッ」
わし[#「わし」に傍点]は、クレーンがまだ動いている裡《うち》だったが、決心をして、号令をかけた。そして真先に、懐中電灯を照して、一同の方へ向けた。彼等の顔は、いずれも、泣かんばかりの表情をして見えた。
「しっかりしろ、探険は、これからだッ」
わし[#「わし」に傍点]は、一同を激励《げきれい》した。
皆の懐
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