ぎりぎりという音がして、戦車の頭部から、土がぱらぱらととびちる。
 円錐形の廻転錐が、いよいよ廻転をはじめて、赤土をけずりだしたのであった。
「ああ、もぐっていくぞ。案外、いいね」
 加瀬谷少佐は、戦車のはねとばす土を、頭からかぶりながら、熱心に、地下戦車の廻転錐のところを注視《ちゅうし》する。
 ぶるぶるん、ぶるぶるん。ぎりぎり、ぎりぎり。
 地下戦車は、すさまじく土をはねとばしながら、すこしずつ、斜面《しゃめん》の土中《どちゅう》につきすすんでいった。
「やるやる、すごいぞ」
 そのうちに、土が、とばなくなってしまった。それは地下戦車が、頭部をすっかり土中に入れてしまったからである。
「おお、これからいよいよ本当の前進じゃ。うまくいくかな」
 少佐は、手に汗を握っている。
 萱原《かやはら》准尉は、自分が運転をしているかのように、額《ひたい》に汗をにじませて少佐と並んで、地下戦車のうしろから覗《のそ》く。
 地下戦車は、それから更に深く土中に入《い》りこんだ。おおよそ、全長の三分の二ばかりが、土中にはいりこんだのであるが、それっきり進まなくなってしまった。
「おや、進まなくなったぞ
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