に、地下戦車の鼻さきをつっこんでやれ」
 少佐は、ときどきにたりと笑いながら、部下を指揮した。
 なにしろこの地下戦車は、土の中ではどんどん走るのかもしれないが、地上では、進退が甚《はなは》だ自由でない。それというのが、この戦車には、地上を走る車輪さえついていないのであった。
「どえらいことになりましたね」
 少佐のそばに目を丸くして立っていた萱原《かやはら》という古強者《ふるつわもの》の小隊長が、少佐に向っていったことである。


   危険信号


「なにごとも、体験じゃ。とはいうものの、この地下戦車を目的物にあてがってやるまでに、いやに世話がやけるねえ」
「はあ。やっぱり、これは車輪が入用《いりよう》ですなあ」
「岡部伍長は、この次には、車輪をつけるといいだすだろう」
「いや、少佐どの。この次には、岡部は、砲弾みたいに、火薬の力でこの地下戦車を斜面へうちこんでくれなどといい出すのじゃありませんかなあ」
「うむ、いいだしかねないなあ、岡部のことだから……」
 そのうちに、用意が出来た。
 地下戦車の鼻さきが、やわらかい赤土の中にすこしばかり入った。そして牽引車《けんいんしゃ》は、後
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