。そこをのりこえなければ、本当に役に立つものは出来ない。
 それから三ヶ月の間かかって、岡部伍長がはじめて設計した地下戦車が、工廠《こうしょう》の中で、実物に仕上がった。
 さあ、いよいよその試運転の当日である。
 防諜《ぼうちょう》のこともあるので、その地下戦車第一号は、厳重なおおいをかけられ、夜行列車に積まれ、東京から程近い某県下の或る試験場へ届けられた。
 ここはその試験場であるが、見渡すばかりの原野《げんや》であった。方々に、塹壕《ざんごう》が掘ってあったり、爆弾のため赤い地層のあらわれた穴が、ぽかぽかとあいていたり、破れた鉄条網《てつじょうもう》が植えられてあったり。
 試験に従事するのは、加瀬谷少佐を隊長に、ほかに一ヶ小隊の戦車兵であった。
 問題の地下戦車第一号は大型の二台の牽引車に鋼条《こうじょう》でつながれ、まわりを小型戦車にまもられながら、ひきずられて、いった。その大きさは、三十トン戦車ぐらいのものであった。
 岡部は、もちろん、その地下戦車の中に入り、座席にしがみついていた。
 試験をするのに、ちょうど、都合のいいように、土地が切り開いてあった。
「さあ、その斜面
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