いいびきだな)
巡視の士官《しかん》は、苦笑をして、後に従っている下士官《かしかん》をふりかえった。
(は、よく寝とります)
すると岡部は、むにゃむにゃと口をうごかし、(……あ、そうか。もぐら君、君の鼻に、錐《ドリル》を直結すれば、よかったんだな。なあんだ、わしゃ、そこに気がつかなかったよ。はははは)
と、気味のわるいこえをたてて、岡部は笑った。そして、とたんに、くるりと、寝がえりをうって、また、ぐうぐうと寝こんでしまった。
士官と下士官とは、思わず目と目を見合わせた。
(夢を見て、寝言をいっとるようじゃが、あれは一体なんじゃ)
(さあ、もぐらがどうとかしたといっておりました。報告書に書いて置きますか)
(ふむ。――いや、それにもおよばん。毛布《もうふ》をよくかけといてやれ)
熱心な投書
巡視の士官たちが、戸口から出ていってしまうと、岡部は、その物音に夢をやぶられたか、ぱっと毛布をおしのけて、寝台のうえに半身をおこした。
「ああ、成功。大成功だ。すばらしい考えを思いついたぞ!」
彼は、寝言ではなく、はっきりとものをいって、いそいで寝台を下りた。上靴《じょうか》
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