事件のことを思うと、たのしいやら、おかしいやらであった。
彼は、あのだだっぴろいうつくしい大草原《だいそうげん》が、ゴルフ場だとは、気がつかなかったのであった。ゴルフ場と知ったら、もちろん、もぐらを放《はな》つような、そんならんぼうなことをやらなかったろう。それがゴルフ場だとわかったのは、あの事件が、新聞に出てからのことであった。
その新聞記事というのが、ふるっていた。
“○○ゴルフ場の怪事件、某国《ぼうこく》落下傘隊《らっかさんたい》の仕業か、多数のもぐらを降下さす”
彼には、すっかりわけがわかっていたからこの新聞記事を読んでいるうちに、ふきだしてしまった。
だが……。
あのゴルフ場の番人が、真夜中になって、クラブハウスの窓から、はるか向こうのゴルフ場の一隅に、怪火《かいか》がゆらぎ(これは一郎のもっていた懐中電灯のことだ)それから朝になっていってみると、約百頭のもぐらが、折角《せっかく》手入れしてあったゴルフ場のフェアウェイを、めちゃめちゃに掘りかえしてあったというのだ。
百頭とは、話が多すぎる。
とにかく、このように多数のもぐらが、一時に、ゴルフ場へ匐《は》いこむ筈
前へ
次へ
全92ページ中59ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング