だ。今それをお目にかけよう。さあ、両傍《りょうわき》へ分れてください」
そういうと、金博士は車のついた大きな電気メスをもちだして、甲板《かんぱん》に当てた。すると甲板は火花を散らし、黒い煙をたてながら、まるで庖丁《ほうちょう》でカステラを切るように剪《き》れた。博士はメスを置いて、こんどは高圧ブラストで、甲板の破片を海中へ吹きとばした。すると甲板の大きく切られた断面が人々の目の前に現れた。
「これ御覧。すてきに厚い最良質《さいりょうしつ》のゴムの蒲団《ふとん》みたいなものじゃ。爆弾が上から落ちる。するとゴムの蒲団にもぐる。その間に爆弾の方向が鋼鉄《こうてつ》の艦体に平行に曲る。そしてそのまま走るから、鋼鉄の艦体の外側をぐるっと廻って艦底に出て、そこでゴム底を突き破って、爆弾は水中へどぼんと通り抜ける。な、分るでしょうがな」
金博士は、大統領の顔を見る。大統領は大きく肯《うなず》き、傍にいる建艦《けんかん》委員の誰かの腕をつかんでゆすぶり、
「おい、君たちにも分るだろうな。よく覚えておくんだぞ。後でこのとおり作るのだから……」
「はい、大統領閣下」
「そこでこの爆弾の通過時間の長さじ
前へ
次へ
全29ページ中25ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング