、また鋭敏《えいびん》なる日本空軍に発見される虞《おそ》れあり。さあさあ次の砲弾を撃ちこむなり、それとも爆撃でも雷撃でも、何でもさっさと早くやったりやったり」
と、金博士は只《ただ》一人なかなか機嫌がよろしく見えた。
大統領は、眼鏡を掌《て》の中に握り潰《つぶ》すと、居ても立ってもいられないという顔付で、
「こら、航空隊出動せよ。爆撃をやれ、雷撃もやれ。早くせんか」
と呶鳴《どな》りたてた。
さあたいへん。大統領の激怒《げきど》である。ぐずぐずしていては、後の祟《たた》りの程もおそろしと、旗艦《きかん》マサチュセッツから発せられる総爆撃雷撃の命令!
と、忽《たちま》ち近づく飛行機の爆音、来たなと思う間もなく西空《にしぞら》は夥《おびただ》しい爆撃機の翼《よく》が重《かさな》り合って真暗《まっくら》になった。それが驚異軍艦の上まで来ると、袋の底が破れてその穴から黒豆《くろまめ》がぽろぽろ落ちるような工合《ぐあい》に、幾百幾千という爆弾がばら撒《ま》かれた。
と、忽ち起る爆発音と大水柱と大きなうねりとの交響楽《こうきょうがく》! 巨艦《きょかん》の姿は、水柱の蔭に全く見えなくな
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