て、日本空軍のまきちらす重爆弾が雨下命中したらば、どうなりますか」
「たとえ幾十発幾百発の重爆弾が落ちてこようとも、あとに一つの穴だって明かない。絶対に大丈夫だ」
「しかし、このとき空中魚雷を抱《いだ》きたる日本の攻撃機数十台が押し寄せ、どどどっと、空中魚雷を命中させ……」
「穴は明きません」
「続いて、果敢《かかん》なる日本潜水艦隊が肉薄《にくはく》して、数十本の魚雷を本艦の横腹《よこばら》目がけて猛然と発射するときは……」
「大丈夫だといったら、大丈夫だ。しかし大統領にこういいなさい。たしかに不沈軍艦一隻――しかも排水量《はいすいりょう》九万九千トンというでかいやつを造ってお渡しする。しかしわしは、これを金銭《きんせん》づくで作ってやろうというのではない……」
「わかっています。燻製肉の一件……」
「いや、燻製肉の代償《だいしょう》を欲しているわけでもない。慾心《よくしん》で、それを造ってあげようというのではない」
「すると全面的に、わがアメリカを援助せられて……」
「自惚《うぬぼ》れてはいかん。とにかくこの代償として、わしはルーズベルト大統領がいつも鼻の上にかけている眼鏡を貰いた
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