足でしょう。行方不明になった谷村博士も黒田警官も洋服を着ている筈です。兄は私と同じく和服でありました。するとこの裸の足は、ああ……
私はそう思うと、頭がクラクラとしました。謎を包んだ大きい穴が、急にスーと小さくなって、釦《ボタン》の穴ほどに縮《ちぢ》まったような気がいたしました。それっきりでした。私は大きい衝動《しょうどう》にたえきれないで、恐ろしい現場《げんば》を前に、あらゆる知覚《ちかく》を失ってしまいました。暗い世界に落ちてゆくような気がしたのが最後で、なにもかも解《わか》らなくなったのです。
覚醒《かくせい》のあと
或るときは、月光の下に、得体《えたい》の知れぬ鬼影《おにかげ》を映しだす怪物、また或るときは、変な衣裳《いしょう》を着て闊歩《かっぽ》する怪物、その怪物を、うまく隧道《トンネル》の中に閉《と》じこめたつもりであった警官隊でありましたが、隧道の上に、なんとしたことか、大きい穴が明いていたのです。もしやこれが、怪物の逃げ出した穴ではないかしらと、白木警部はじめ一同が、その穴の縁《ふち》に近づいたとき、傍《かたわ》らの盛土《もりつち》の中から、二本の足が
前へ
次へ
全81ページ中67ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング