、ポッカリと大穴が明《あ》いているのです。穴から下を覗《のぞ》いてみますと、底はどこまでも続いているとも知れず、真暗《まっくらで》見透《みとお》しがつきません。
「こんな穴は、以前から有ったろうか」白木警部は不安に閃《ひらめ》く眼を一同の方に向けました。
「いいえ、ありませんです。ここはずッと盆地《ぼんち》のように平《たいら》になっていて、青い草が生えていたばかりですよ」
「ほほう、すると何時《いつ》の間に出来たのだろうか」
「もしや……」
「もしや何だッ」と警部は声をはりあげて聞きかえしました。
「もしや、あの化物が明けたのでは……」
「そんなことかも知れん。天井の壁さえ抜けば、あとは軟《やわらか》い土ばかりだったのかも知れない」
「すると化物は、どッどこに……」
「さあ――」と警部が不図《ふと》傍《かたわ》らの土塊《どかい》に眼をうつしますと、妙なものを発見しました。
「おお、そこに人間の足が見えるではないか」
 一行はあまりに近くへ寄りすぎて、穴ばかりに気をとられ、傍らの堆高《うずたか》い土塊に気がつかなかったのです。そこから二本の足がニョッキリと出ています。全く裸の脚です。誰の
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