。化物はもう残っていないのでしょうか。残っていたら、それこそ大変です。それから気にかかるのは、谷村博士と黒田警官の行方《ゆくえ》です。それも今夜は尋《たず》ねようがありません。
警備の人々は帽子を脱《ぬ》いでホッと溜息《ためいき》を洩《も》らしました。そして道傍《みちばた》にゴロリと横になると、積り積った疲労が一時に出て、間もなく皆は泥《どろ》のような熟睡《じゅくすい》に落ちました。
山頂《さんちょう》の怪《かい》
警備の人達の苦労を知《し》らぬ気《げ》に、いくばくもなく東の空が白んできました。生き残った雄鶏が元気なとき[#「とき」に傍点]をつくると、やがて夜はほのぼのと明け放れました。
「やあ」
「やあ」
目醒《めざ》めた警備の人々は、相手の真黒に汚れた顔を見てふきだしたい位でした。瞼《まぶた》は腫《は》れあがり、眼は真赤に充血し、顔の色は土のように色を失い、血か泥かわからぬようなものが、あっちこっちに附着《ふちゃく》していました。しかしそれは自分の顔のよごれ方と同じであったのですが、始めは気がつきませんでした。
「化物《ばけもの》はどうしたな、オイ巡視《じゅんし
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