は不利です。
ピリピリピリピリ。
もうこれまでと、警部は非常集合の警笛をとって、激しく吹き鳴らしました。
素破《すわ》一|大事《だいじ》とばかりに裏門の一隊と、表門に待機していた予備隊《よびたい》とが息せききって駈《か》けつけました。
警部はその二隊を、問題の室には向けず、階段の影に集結しました。この上|乱闘《らんとう》をしてみたって、あの怪物には到底《とうてい》歯が立たないことを悟《さと》ったからでしょう。
「機関銃隊《きかんじゅうたい》、配置につけッ」
たちまち階段の影に三挺の機関銃を据《す》えつけました。しかし引金を引くわけにはゆきません。向うの室では、味方の警官も苦闘《くとう》をつづけていれば、老婦人もどこかの隅《すみ》にいるかと考えられるからです。唯一つの機会は、室から外へ出てくる怪物があれば、この機関銃から弾丸《だんがん》の雨を喰《く》らわせることが出来ます。
「うーむ、今に見ていろ」
警部は自暴自棄《じぼうじき》で、苦闘している部下のところへ飛びこんでゆきたいのを、じっと怺《こら》えていました。それは犬死《いぬじに》にきまっていますが見す見す部下が弱ってゆくの
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