人の逞《たくま》しい警官が、たちまちその場に勢ぞろいをすると、一、二イ、三と声を合わせ、
「エエイッ」
と扉にぶつかりました。グワーンと音がするかと思いの外《ほか》、呀《あ》ッと叫ぶ間もなく、扉はパタリと開き、三人の警官は勢《いきお》いあまってコロコロと球でも転《ころ》がすように、室内に転げ込みました。どうやら鍵は懸《かか》っていなかったものらしいのです。
一同は思いがけぬことに、ちょっとひるんで見えましたが、
「それ、捕縛《ほばく》しろッ」
と警部が激励《げきれい》したので、ワッと喚《わめ》いて室内に躍《おど》りこみました。そこには予期《よき》していたとおり、頭のない洋服を着た怪物がゾロゾロと匍《は》いまわっていました。
「ウム」
とその一つに手をかけるとたんに、ピシリとひどい力で叩かれました。警官は呀《あ》ッと顔をおさえたまま尻餅《しりもち》をつきましたが、叩かれたところは見る見る裡《うち》に紫色に腫《は》れ上ってきます。
あっちでもこっちでも、警官が宙《ちゅう》に跳《は》ねとばされています。壁へ叩きつけられて気絶《きぜつ》をするもの、ガックリと伸びるものなどあって、形勢
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