うに云いました。「足が不自由だから、簡単に飛べるような発明をしたと考えてはどうかネ」
「ほほう、君もどうやら事件のあったことを信用して来たようだネ」と警部は微笑《びしょう》しながら「だが兎《と》に角《かく》、当面の相手は何とも説明のつけられない変な生物《いきもの》が居るらしいことだ。そいつ等の人数は大約《おおよそ》十四五人は発見されたようだ。それも果して生物なのだか、それとも博士の発明していった何かのカラクリなのだか、これから当ってみないと判らない。博士の行方《ゆくえ》が判ると一番よいのだが、とにかく様子はこの少年の話で判ったから、一つ皆で天文学者谷村博士|邸《てい》を捜査《そうさ》し、一人でもよいからその訳のわからぬ生物を捕虜《ほりょ》にするのが急務《きゅうむ》である。判ったネ」
「判りました」「判りました」と凡《およ》そ二十人あまりの警官隊員は緊張した面《おもて》を警部の方へ向けたのでした。彼等はいずれも防弾衣《ぼうだんい》をつけ、鉄冑《てつかぶと》をいただき、手には短銃《ピストル》、短剣《たんけん》、或いは軽機関銃《けいきかんじゅう》を持ち、物々しい武装に身をととのえていました。
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