は。お国ではどういう御意見ですかね」
「それがどうも、申し上げにくいが、ちと冴えない返事でしてね。要点をいいますと、日中戦争以後、英国が日本に対して非常に遠慮をするようになったので、あまり頼みにならぬと不満の色が濃いのです」
「なに、日本に対してわが大英帝国が遠慮ぶかくなったという非難があるのですか。それはそう見えるかもしれません。いや、そう見えるように、わざとつとめているのだといった方がいいでしょう。それも相手を油断させるためなんです。ですが、実は、われ等は極東において絶対的優勢の地位に立とうと、戦備に忙しいのです。わが大英帝国は、東洋殊に中国大陸を植民地にするという方針を一歩も緩めてはいない。これまで中国に数億ポンドの大金を出しているのですよ。そのような大金がどうしてそのまま捨てられましょう」
とリット少将の言葉は、次第に火のように熱してきた。日本人が聞いたら誰でもびっくりするにちがいない恐しい言葉だ。
「駄目です、駄目です。貴官の国の戦備はまだなっていません。本当にそれをやるつもりなら、なぜもっと極東に兵力をあつめないのです」
とソ連の密使ハバノフ氏は叫ぶ。
それを聞くとリ
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