浮かぶ飛行島
海野十三
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)馬来《マレー》半島
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)裏|街《まち》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)鉄筋コンクリートのうき[#「うき」に傍点]を
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川上機関大尉の酒壜
わが練習艦隊須磨、明石の二艦は、欧州訪問の旅をおえて、いまやその帰航の途にあった。
印度を出て、馬来《マレー》半島とスマトラ島の間のマラッカ海峡を東へ出ると、そこは馬来半島の南端シンガポールである。大英帝国が東洋方面を睨みつけるために築いた、最大の軍港と要塞とがあるところだ。
そのシンガポールの港を出ると、それまでは東へ進むとはいえ、ひどく南下航路をとっていたのが、ここで一転して、ぐーっと北に向く。
そこから、次の寄港地の香港まで、ざっと三千キロメートルの遠方である。その間の南北にわだかまる大海洋こそ、南シナ海である。
練習艦隊はシンガポールを出てからすでに三昼夜、いま丁度北緯十度の線を横ぎろうとしているところだから、これで南シナ海のほぼ中央あたりに達したわけ
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