トルか大きいというから、東京駅がそのまま載って、まだ両端へ百メートルずつ出るという長い滑走路を造るのだそうだ。
この飛行島は、目下建造中である。
南北及び東西の航空路の安全をはかるため、特に南シナ海の真中に、飛石のように置いた不時着飛行場で、これさえあれば、その両航空路はどんなに安全さを加えるかしれないというのだ。
そのために、飛行島株式会社というのが出来て、南シナ海をとりまく諸国――つまり英国が主となり、仏国、米国、オランダ、暹羅《シャム》、中国の諸国を表面上の株主として、莫大な建造費を出しているのだった。工費は、おどろくなかれ千五百万ポンドというから、日本の金に直して、約二億五千万円となる。なんにしても、凄いものである。
この大工事を引きうける会社をつのったところ、入札の結果、それは英国のトレント船渠《ドック》工場会社に落ちた。だから南シナ海へのりだして海中作業をやっているのは英国系の技師だった。その大工事に、いま働いている人員は三千人というおどろくべき数に達していた。三千人といえば、その毎日の食料品を考えてみただけでも大変な費用だった。
いまや世界中がおどろきの眼をあつ
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