も真赤になってしまった。
「なあおい長谷部。貴様と俺とは、昔から不思議にどこへでもくっついて暮すなあ」
「うん、そうだ。血は分けていないが、本当の兄弟とよりも、貴様とこうやって一緒に暮している月日の方が長いね。なんしろ小学校時代からだからねえ」
「これまで、よく貴様に厄介をかけたなあ」
 と、川上は急にしんみりいう。
「厄介をかけたり、かけられたりさ。これが本当の腐れ縁だ。はっはっはっ。貴様は今夜どうかしとるぞ。さあ元気を出せ。持ってきた酒を空にしてみせろ」
 と、長谷部大尉は、また酒をなみなみと友のコップの中に注いで、
「おい川上、そういえば報告を聞いたろうが、明日はいよいよ海上に面白いものを見られるぞ」
 と、話題をかえる。
「うん、あの飛行島のことかい」
「そうだ、飛行島だ。こいつはこんどの遠洋航海中随一の見物だぞ」
 明日は見られるという飛行島!
 それは広い広い海の真只中に作られた飛行場だった。もちろんその飛行場は、水面に浮かんでいるのだった。沢山の丈夫な錨によって海底へつながっているから、どんな風浪にもびくともしない。
 大きさは、ドイツの大飛行船ヒットラー号よりも何十メー
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