か」
「なにを!」
 フランク大尉は、鉄拳を固めて川上機関大尉の頤を狙ってつきだした。二人の組打となった。爆弾はどんと下に落ちて、ごろごろと壁の方へころがった。
 川上機関大尉も懸命だが、フランク大尉の強いことといったら、話にならぬ。
 組打が長びいて、フランク大尉の加勢が五人十人とふえて来ては面倒だ。機関大尉は気が気ではなかった。
(残念だ! もう一歩というところで――)川上の腸《はらわた》はちぎれるようであった。
 そのとき何者か、川上機関大尉の落した爆弾に駈けよって、ひょいと肩にかついだ者があった。


   輝く二勇士


「おお、その爆弾に手をふれる奴は、うち殺すぞ」
 川上機関大尉は、必死で呶鳴った。
「上官、もうすっかれ敵に囲まれました。爆弾は上官に代り、私が持って投げこみます」
「おお杉田か。貴様はどうしてここへ」
「どうして私ばかりがじっとしていられましょう。私は縛られた紐をといて下甲板に上り爆弾庫を狙って来たのです。が、今ここで会うのは、天の引合せです。――や、機関銃隊が出てきました。もう猶余はなりません。では上官、お別れです」
「おう杉田。では頼むぞ。爆弾の安全弁
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