ですか。貴下が卓子の下から右手に掴んだものは――」
「えっ」極度の狼狽をみせて、提督は態度を一変した。彼の顔は、興奮に燃えている。その右手には、一挺のピストルがしっかと握られ、狙はものの三メートルとはなれていない川上機関大尉につけられ、どどどどーんとつづけざまに数発の銃声!
怪無電
「卑怯者!」
と叫んだのは、川上機関大尉だった。
大喝一声、とびくる銃弾をものともせず、彼はぱっと身をひるがえして、提督の手もとにおどりこんだ。
近距離の射撃が、一向、効を奏さなかったのは、提督があまりに気をあせっていたためであった。
「しまった」
と思ったときは、もうすでに遅かった。ピストルを握っていた提督の右手首は、硬いもので強くたたかれた。
(斬られた?)
と思ったが、違っていた。提督はピストルをぽろりと床に落した。右手はまだちゃんとついていた。だが切れて落ちそうに痛む。左手でそれをおさえて、提督はへたへたと絨毯のうえに膝をついた。
川上機関大尉は、刀の背で峰打をくわせたのだった。
提督は、その次の瞬間、川上のために真向から日本刀でざくりと斬りさげられるだろうと覚悟をして、
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