か大盤石のように重い。
「うーん、これは重い。梨花どうしたのか。お前なにか腰にぶらさげているのではないか」
「ええ、わたくしの腰から下に、皆さんがぶらさがっているのですわ」
「皆って、誰のことだ」
提督は、ぎょっとして、改めて海面を見おろした。
そのとき不思議にも、海の中は電灯がついたように、明るくなった。そして梨花の腰から下にとりすがっている真青な顔をした二人の看護婦の姿が見えた。またその看護婦の下には、顔や肩を赤く血に染めた大勢の苦力《クーリー》がぶらさがっている。そのまた下に、川上機関大尉や杉田二等水兵も見える。そのほか印度人やフイリッピン人や白人や、見れば見るほど何百人というたいへんな数である。彼等は、海底に横たわる一隻の汽船の船腹を足場として、人梯子をよじのぼってくる。海底にある地獄の風景だ!
ぐーっと、肩もぬけそうな強い力が、リット提督を海中へひっぱりこもうとした。
「こら、無茶をするな」
そのとき提督は、海底に横たわる船腹にブルー・チャイナ号という船名を読んだ。
「あ、ブルー・チャイナ号! わしが沈めた汽船だ。さては、この連中は」
提督の背筋が急に冷たくなった。
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