んひどいことをやったじゃないか」
「は、見ました。全くおどろきました。しかし上官の機敏なる判断には、もっとおどろき入ります。もう十分、あの船の上でぐずぐずしていたら、今ごろは五体ばらばらになるところでした」
「うむ、俺の判断に狂がなかったというよりも、これは日本の神々が、われ等の使命を嘉《よみ》せられて、下したまえる天佑というものだ。おい杉田、貴様が意外に元気で、こんなに泳げるというのも天佑の一つだぞ」
「は、私は船内で上官のお顔を見つけたときは、うれしさのあまりに、大声で泣きたくて困りました。とうとう脱艦以来の目的を達して、川上機関大尉と御一しょに、飛行島攻略に邁進しているんだと思うと、腕が鳴ってたまりません」
「うん、愉快じゃ。しかしこんど飛行島で顔を見られたら、そのときは相手を殺すか、こっちが殺されるかだぞ。なぜといえば、飛行島の上には、東洋人はもうただの一人もいないのだからなあ」
「なに大丈夫です。そのときは日本刀の切味を、うんと見せてやりますよ」
川上機関大尉は、早くもリット少将の悪企《わるだくみ》を察し、汽船ブルー・チャイナ号出帆の約二十分後、二人は夜の闇を利用してひそか
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