ので、島内の捜索をさらに厳重にやっていて、それで出発時刻がおくれるんだと、どこから聞きこんだのか、したり顔に説明する者もあった。
 午後十時が、十一時になり、十二時をまわった。
「今夜はもう出発とりやめで、明朝に延期になるんだろう」
 などと噂しているところへ、午前一時になって、突然乗船命令が出た。
 一同は、水兵たちの制するのもきかず、われがちに桟橋へ殺到した。それを一人一人乗船させる。
 三千何百人の乗船には、たいへん手間どった。時刻は午前二時半になった。
 囚人も皆のりこんだ。
 一番後から乗ったのは、白い病衣をまとった東洋人を中心にした四人づれであった。白い病衣は外ならぬ杉田二等水兵の姿であった。傍には、可憐なる梨花と二人の英国人看護婦もつきそっていた。
 ああ皆、船にのって飛行島を出てゆくのだ。ああ意外も意外杉田二等水兵も、これでついに一命を拾ったらしい。まことに意外なるリット少将の慈悲ではある。
 司令塔からは、リット少将が双眼鏡片手ににこにこ笑って、この有様を見ている。


   非道と正義


 フランク大尉が唇をぶるぶるふるわせ、つかつかと少将の傍へよって来た。
「少
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