将閣下。あれほど私が御注意申しあげましたのにもかかわらず、私がカワカミだと申す人物を、あの船の上へ逃がしておしまいになりましたね」
 リット少将は、フランク大尉の方へ顔を向けて、
「もうカワカミのことはくどくいうな。たといこの上カワカミを捕らえ、この飛行島に監禁しておいたところが、邪魔にこそなれ、なんにもならないのだ。お前も知っているとおり、本国からの訓令により、明日はこの飛行島がいよいよ重大任務を帯びて某方面へ出動するのではないか。もうカワカミのことは、忘れようではないか。そして一路、敵国艦隊を撃滅することに、専心するのだ。まあわしのすることを見ているがいい」
 リット少将は、うす気味がわるいほど、上々の機嫌だった。
 この老獪なる建設団長――いや、七日前に本国からの電信により、あらたに極東艦隊飛行島戦隊司令官に任命されたリット少将は、なぜそんなに機嫌がよいのであろう?
 実は、これには深い仔細があったのである。リット司令官の胸中には、戦隊の首脳部のほんの数名にしか知らせてないある策略が宿っていたのである。
 では、その策略というのは?
 大量の非戦闘員を出発させるというのに、わざわ
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