うに艦橋に突立っている。
「聴音班報告。柳下機は近づきました」
「うむ」
 と艦長は、うなる。
 伝声管が鳴って、当直入野一等兵曹がかけよる。
「艦長、無電班報告。英海軍駆逐機隊の無電交信を傍受せり。方向は、東南東、距離不明なれども、極めて接近せるものと認む」
 発信符号をしらべてあるから、無電の主は何者だと、すぐに分かるのだ。
 これを聞いて水原少佐は、唇をかんだ。
 しかしはじめの決意はすこしも変らなかった。
「艦長。監視班報告。左舷十度、高度五百メートルに艦載機の前部灯が見えます」
 おお柳下機だ。いよいよ戻ってきたのだ。
「信号灯点火、本艦の位置を示せ」
 号令とともに、艦首と艦尾に、青灯と赤灯とがついた。
「艦載機帰艦用意――探照灯、左舷着水海面を照らせ」
 艦内は号令を伝える声と、作業にかけまわる水兵たちの靴音やかけ声で、火事場のような騒であった。
 前檣からは、青白い探照灯がさっと波立つ海面を照らしつけた。
 もうこうなっては何もかもむきだしだ。英国機はもう頭上に来ているかも知れない。が、今はそんなことを心配している場合ではない。
 艦長水原少佐は厳然とかまえている。いざ
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