そうです。感電砲というのを発明しましたから、国家へ献上《けんじょう》します。」
海相「それはどうも、どこに持って来たのかネ。」
小僧「いや実物は重いので紙に書いて持ってきました。」
海相「二重リング陣形?」
小僧「そうです。下のは艦隊、上のは航空隊ですよ。やってくるところを、こっちは感電砲をサッと向けるですナ。釦《ボタン》一つ押すと紫電《しでん》一閃《いっせん》。太い二本の光の柱です。一本は真直に空中を飛び上る。もう一本は敵陣の中につっこむ。するとパッと黄煙《こうえん》が騰《あが》ると見る間に、艦《ふね》も敵兵も瞬間に煙となって空中に飛散する。これが本当の空中葬……。それでおしまいでサ。」
海相「なんだい、それは。」
小僧「つまりこれが感電砲ですよ。砲から空中へ紫光《しこう》の柱が立ったのは、上空にある強烈なる電気天井ヘビサイド層の電気を下へ導くための電離柱《でんりちゅう》です。これがために強烈なる電気が天井から下りて来る。下りて来るが早いか、もう一本、敵の中へ突っこんだ紫光の電離柱を導わって、敵艦や敵機に集中する。つまりヘビサイド層の強電気が敵軍の上に浴びせかかる。何条もってたまるべ
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