、電車に乗って金と引換えに切符や乗車券を渡して置くと、「折らないで下さい」と再三注意を与えて置くにも係《かかわ》らず、下車のときにはクルクルと巻物のように捲《ま》いてしまう者あり、或いはもうこれ以上折れないというほど小さく折り畳みて鼻糞大にしてしまうものあり、そのために切符を改める手前大いに事務|渋滞《じゅうたい》を来たすものであり。
いくら注意を与えても、乗客は云うことをきかないので、本発明方式を提供した次第である。これを採用するときは天罰覿面《てんばつてきめん》、乗客は反省するであろう。
(本発明方式は、一電気局又は一電鉄会社一乗合自動車会社につき、金五千円也として権利使用を許す。)
〔附記〕折角の発明であったが、そんなことをするよりも、乗客が簡単に折ることの出来ないように、切符の厚さを増大《ぞうだい》し、たとえば省線切符位の厚紙に改造することによって円満に目的を達し得られることに気がつき、本発明は遺憾《いかん》ながら、どこの電鉄にも乗合自動車にも採用されない由《よし》である。
感電砲
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海相「発明小僧というのは、君かネ。」
小僧「
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