発明小僧
海野十三

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)自動車用ペンキ爆弾《ばくだん》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)安全|賭博器《とばくき》

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(例)[#ここから改行天付き、折り返して1字下げ]
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 自動車用ペンキ爆弾《ばくだん》
 これは特種の赤ペンキをタップリ含んでいるピンポン球《だま》ぐらいの小球《しょうきゅう》にして、叩きつけると、すぐ、壊れるものなり。携帯に便にして、ポケットに四つや五つ忍ばせても大丈夫なり。
 その使用目的は、雨天の折など、向うから自動車が狭い路にも係《かかわ》らず泥をハネかしながらやってくるごとき場合に、「気をつけろ」と注意を与えても、先方が聞き入れざるときは、やむなくこいつを自動車の横っ腹に抛《な》げつけるなり。
 しかるときは赤ペンキは忽《たちま》ち自動車をベタベタに染め、運転手が驚きて拭《ぬぐ》わんとすれども中々おちぬところに新種ペンキの特長あり。
 もしこの赤ペンキを綺麗に落さんと欲《ほっ》せば、抛げつけたる当人の許を訪ねて、ペンキ消し液
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