を乞いうけるに非ずんば、金輪際《こんりんざい》消えることなし。乃《すなわ》ちその際に、運転手の油をウンと絞るなり。
随ってその反覆使用は、運転手をして歩行者に泥をハネかすことを絶対に行わざらしむるに至るものなり。
(ペンキ球一箇五銭。ペンキ消し一壜二十六銭の見込み。)
安全|賭博器《とばくき》
携帯型なり。大体ゴールデンバットの箱ぐらいなり。一方に入口ありて、他方に出口あり。これを使用するは当人に限り、他人をして使用せしむることを得ず。(もし強いて行えばつかまっちゃう也)
さて先ず入口へ金五十銭を入れるなり。その次に出口のところにある押し釦《ボタン》を押すなり。
しかるときは、出口よりチャラチャラとお金が出てくるなり。
但し或るときは、五十銭入れたに対して五円出てくることもあり、或いはまた一銭も出て来ぬことあり。
ときには五十銭入れて五十銭出て来ることもあり、さまざまたるところ、まことに賭博器なり。
(さア昼飯にしよう!)というときにまず五十銭を本器に投じて釦を押す。
出口より五十銭出づれば、ランチにし、若《も》し三円出ればアミを誘って奢《おご》っちゃうなり。若しそれ
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