《きも》を潰《つぶ》して先頭にたちて快走すべし。
然るに籠の内面《ないめん》にはエボナイト製の天井を設けあるを以て、猫の快走するたびに、猫皮とエボナイト天井と摩擦するをもって、エボナイト天井にはマイナス電気、猫の背中にはプラス電気を生ずべし。
よって此の電気を器外に導きて、用に立つるものとす。
使用に当りて注意すべきことは、猫と鼠とを入れる順序を間違えざることにして、もし鼠を入れ置きて猫を後より入れたるときは、本器は故障を生ずる虞《おそれ》あるなり。
(本器の価格七十五銭。猫一匹五銭、鼠十六銭也。)
新案|水汲器《みずくみき》
本発明品は、水汲器という名称であるが、市場にあるような不経済なものではない。これは全く費用が懸《かか》らない。例えばモーターを廻せば電力代が要《い》るが、本発明品にありてはすこしも動力代が要らないところに特徴がある。
乃《すなわ》ち、人間が喋ると口が動き、その附近の筋肉が伸縮する。その運動を、別の器械に通じて発電させそれでモーターを動かし、水を汲み上げるのである。
本器を取付けるのに最も能率のよい人間は婦人である。早く云えば、お喋りの選手であるほ
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