コトニヨリ之ヲ焼冷《やきざま》シトナスコトナカラシメ、常ニ保温シ得ル等ノ効果ヲ有ス。
 ――皆様、お腹の具合はいかがですナ。

 牛馬両便器の発明
 昭和二年実用新案広告第四二九四号(類別、第七十五類五、家畜用便器)――出願人、四谷区永住町、中×清氏。
 牛馬の両便と都市の美観衛生問題は、これ誰しも頭痛の種である。そこで此の発明が生れたわけである。
 図で見るように、ションの方は漏斗《じょうご》がたの受け器があって、これは牝牛《めうし》の場合に、適当な個所に於て、下から受けている。
 ジャアと用を達せば、この漏斗がたの中に落ち、底から出ている管《くだ》を通って、タンクの中へ流れ込む。だから、美しい道路を汚すこともなく、地が掘れる心配もないというわけ。
 ダイの方は、手前に出ているハンドルを、キューッと矢の方に引張ると、クランクの巧みなる運動によって、蝦《えび》のように曲った管の先についているダイの受け器が、クルリと廻って、適当なる下方に伸びて、ダイを受ける。
 受けたものはコロコロと、太い管の中を転落して、タンクの中に入るから牛馬先生は、遥かに余韻《よいん》嫋々《じょうじょう》たる風韻
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