薬は、ほんの少量で、ものすごいきき目がある。かの雷洋丸が爆沈したのも、実をいえば、わずか丸薬《がんやく》ほどの大きさのBB火薬が、第一船艙のある貨物の中に仕かけられていて、それが爆破したためであった。X塗料というのは、その恐るべきBB火薬の爆破力を食いとめる力のあるふしぎな新材料であった。
 BB火薬とX塗料!
 これはともに、メキシコにおいて発明されたのである。BB火薬の発明後、三年かかって、この塗料が発明された。
 このX塗料が発表されたのは、わりあい最近のことであるが、メキシコでも、このX塗料が完成するまでは、BB火薬の多量生産と、その使用とを絶対に禁じていた。
 それは、なぜかというのに、ものすごいBB火薬だけあって、X塗料がなければ、あまりに危険であって、国内で取扱うことができないからだった。ことばをかえていうと、X塗料のような安全な材料で包むのでなければ、BB火薬の製造工場や貯蔵場が万一爆破したら、いかなる大惨事《だいさんじ》がおこるか考えただけでも、ぞっとする。それほどBB火薬の爆破力は、はげしいのであった。
 X塗料は、政府の命令によって、すぐさま研究が開始された。より
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