すぐった優秀な化学者二百名が、三年間地下にある秘密の研究所で困難な研究をつづけて、やっと完成したものである。
X塗料の発明が完成したとき、メキシコの主だった人々はほっと安心の溜息《ためいき》をついた。それはBB火薬が現れた時よりも、さらに一そうよろこばれた。彼等は、自国で発明されたBB火薬のため、彼等自身が爆死《ばくし》するのは、たまらないと思ったからだ。
X塗料の発明されたことは、報告されたが、その塗料がどんなものであるかということについては、火薬以上にその秘密が厳重にたもたれた。
わが名探偵帆村荘六は、この極秘の塗料をはるばるメキシコまで受取りに行ったのである。
それはメキシコ政府の好意によって、時局がら日本へ譲《ゆず》ってもいいという申入れがあったので、政府では大喜びで、これを受けることになった。しかしメキシコ政府としては、このX塗料のことは秘密の中の秘密で、この前のBB火薬のように、悪者のためにかぎつけられて盗まれてはたいへんであるから、こんどのX塗料の見本の受取りは、非常に注意深くやってもらいたいと要求した。そこで日本側でも特に気をつけて、この件を検察庁長官《けんさつ
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