めかし、
「船長。この船には、ねらわれている者と、ねらっている者とが乗りこんでいるにちがいありませんよ」
「えっ、なんと」
「船長を、おどかすつもりはありませんが、たしかにそうです。しかも、どっちがねらわれているのか、ねらっているのか分かりませんが、とにかくそのどっちかがおそろしいこと世界一といってもいい者だと思います」
「そんなことが、どうして分かります」
「あの爆発事件のとき、どんな爆薬が使われたかを、私は調べてみましたが、それはどうやらメキシコで発明された極秘《ごくひ》のBB火薬らしいのです。この火薬の秘密が、何者かの手によって外へ洩れて大問題になっているのです」
「ほう、BB火薬? どうしてそれと分かったのですか」
「いや、そういうことを調べるのは、私の仕事なんですからねえ」と帆村はいって、
「ミマツ曲馬団のトラ十の行方が知れるか、それとも松ヶ谷団長が正気にかえるかすれば、かなり事件の内容は明らかになり、誰が、そのおそるべき怪物であるかはっきりしましょう。また船員赤石も、何か参考になることを知っているでしょう」
「すると、このおそるべき怪物というのは、この船に今もちゃんとのって
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