いるわけですね」
「たぶん、そうでしょうね」
「え、たぶんですか。それはいったいどんな人間でしょう。外国人ですかねえ」
「さあ、外国人だろうと思うが日本人だか分かりませんが、とにかくここに一つ、はっきり名前を申し上げていい容疑者がある!」
「それが分かっているのですか。早くおしえてください」
「お待ちなさい」
帆村は、とつぜん席を立って、船橋の入口の扉を、注意ぶかく明けて外を見た。誰か外から、こっちをうかがっている者はいないかと思ったのであるが、外には、張番《はりばん》の水夫が二人、とつぜん現れた帆村の方を、びっくりしてふりかえったばかりだった。
では、大丈夫?
帆村は、元の席に戻って、口を開こうとしたが、ふと壁の方に目をうつすと、
「おや! あんなところに、一輪ざしの花が」
と、一声さけんで、バネ仕掛《じかけ》の人形のようにとびあがった。平生おちつきはらっている帆村としては、めずらしい狼狽《ろうばい》ぶりだ!
予言的中《よげんてきちゅう》
一輪ざしには、まっ赤なカーネーションと、それに添えてアスパラガスの青いこまかな葉がさしこんであった。それは、精密な器械類のなら
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