う意見ですか。しかし万国郵便条約」
「お待ちなさい。本船はみえざる敵に狙われているのですよ。へんな長文の無電をうってくるのは、そのみえざる敵が、今夜のうちに、本船をどうかしようと思って、本船に働きかけている証拠なのだと思います。条約違反の罰金をはらってもいい、はやく無電連絡を切るのがいいです」
「ほう、なかなか過激な説ですなあ」
と船長は、苦笑をした。しかし帆村のすすめたように、無電連絡を切れとは命じなかった。船長は、まさか後にのべるような大惨事が起ろうとは思っていなかったので、このときは、万国郵便条約を尊重することばかり忠実であって、帆村のことばには、耳をかたむけなかったのである。
「さあ、話を本筋にもどしましょう。帆村さん、あなたが身分をかくして本船にのりこまれたのは、どういうわけですか。なにもかもいっていただきましょう。われわれも、それにたいして十分の援助をいたします」
と、船長は、切り出した。
「ああ、船長さん。私のことなんか、二の次にしてください。わたくしとしては、べつに、あなたがたから救《すくい》をもとめるつもりはありません」
帆村は、きっぱりいった。
「でも、あなた
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