がうそだったとは、ふしぎだ。いや、奇怪|至極《しごく》だ」
と、いって、しばらく考えていたが、
「すると、本船の左舷横、五、六メートルのところに落ちたあの爆弾のことは、どう考えるかね」
「さあ、それですよ。船長」
と、一等運転士は、顔を一そう、船長の方に近づけ、
「どうも私は、あのミマツ曲馬団というやつが怪しいと思うのですが、団員の中に、わるい者がまじっていて、ダイナマイトかなんかをもってて、甲板から海中へなげたのではないでしょうか」
「甲板から海中へダイナマイトをなげた? ふふん、なるほどね」
と、船長は眼をつぶった。
「しかし、ダイナマイトを、なぜ海中へなげたのかな。まさか、魚を捕《と》るためじゃあるまい」
「船長、あの曲馬団の連中を、片《かた》っ端《ぱし》から、しらべて見てはどうでしょうか。そうすれば、松ヶ谷団長をやっつけたり、丁野十助を血痕《けっこん》だらけにしてしまった悪い奴が、見つかるかもしれません」
「そうだなあ。しかし、一人一人、しらべていたのでは、なかなからち[#「らち」に傍点]があかない。怪しい奴を見当つけて、それから先へしらべてみたら、どうか」
「さんせいで
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